ハシルコト北海道は特殊なチームであり、メンバー間で”共通言語”として使われるマラソン用語が色々あります。
かつて私が走り始めた頃の話ですが、公園でジョギングをしているとオジさんから
オジサン「きみ、良い走りしてるねー!練習積めば、サブ3いけるんじゃないの?」
げん「は?サブ3??(意味不明)」
となったように(笑)、知らない言葉があると会話が成立しません^^;

ここでは日常的な練習会でよく出てくる単語について、簡易的な説明と、それについて詳しく書かれているハシルコト本体のブログ記事とYouTubeをご紹介しますね。
E・M・T・I・Rとモデレート・CV
練習会では、例えば
「1000m×5本、Iペースで疾走後、200mをE下限でつないで5本」
みたいな感じでメニュー内容を掲載しますが、自分の走るスピードがどれくらいか把握出来ないと、上記のメニューは”ただの暗号”と化します(笑)
まずは自分の走力を客観的に判定するのに、VDOTという”走力の物差し”を利用します。
分からない方は以下の「VDOTとは何か」をブログ(あるいはYouTube)でVDOTのことをバッチリ学んで…

その上でVDOTの計算が容易に出来るサイトで自分の記録を入れて、小数点以下までVDOTを確定させ、練習で実施すべき“EMTIR”の各ペースを確認してください。

スマホのアプリもありますので、アプリをダウンロードして使うのも良いかと思います!

で、自分のVDOTから導き出せるEペースやMペース・Tペース・Iペース・Rペースが分かったら、それぞれの内容について。
Eペース|Easy

→楽に走れる、土台づくりのペース(E下限)~実質的なフル巡行ペース(E上限)
日々のジョグやロング走の基本となるペースです。心肺や毛細血管、ミトコンドリアなどの持久力の土台を育てつつ、筋肉や腱を“走ること”に慣らしていくようなイメージ。
Eには比較的広い”範囲”があるので、楽なEペース下限~実質的には(さほどVDOTが高くないランナーの)フルマラソンのレースペースになり得るE上限まであるため、効果や役割は範囲内でも異なります。
- 会話しながら走れる
- ある程度は呼吸に余裕がある
- 疲労抜きから、ややしっかりした有酸素走まで幅がある
- 速く走りすぎないことが大切
ポイント練習の翌日などはE下限でも辛い場合があるので、E下限から10秒~20秒/km落としたようなジョグ、さらに10秒~20秒/km落としたゆるジョグでも全然OKであり、それによって有酸素運動の刺激・得られる効果が大きく減退することはないので、日々の体調に合わせて無理なく。

モデレートペース|Moderate

→ある程度の余裕を保ちながら、しっかり走る有酸素ペース
E上限より速くMペースより少し遅いペースであり、概ね
E上限~(10~15秒/km)モデレート~(10~15秒/km)~Mペース
となります。

中級レベルの一般市民ランナーにとっては、ここがフルマラソンの巡行ペース、あるいは結果的にレース全体の”平均ペース”になりやすいスピード領域になります。
- 特異性の高いロング走を実施するのに適したペース
- 短い文章での会話なら可能
- マラソンペースに近い姿勢と筋活動パターン、着地衝撃で走る実戦練習になる
- なので有酸素能力、脚の持久力、ランニングエコノミーを高めていける
- Mでのロングほど苦しまず、かつ効果が非常に大きいペース帯
モデレートは追い込みすぎずに「走る強度」と「距離」の両方を確保出来ることが多いので使いやすい。
Eペースより大きな刺激を得ながら、M・Tペースほど疲労を残しにくいのが利点です。
ただし”モデレート”はダニエルズの正式な区分ではないため、厳密に決まったペースはありません。
指導者やコミュニティによっても、意味が異なります。
ハシルコト北海道では
E上限より10秒~15秒/km速いスピード=モデレート
Mペースより10~15秒/km遅いスピード=モデレート
としています。
詳しくは以下の記事(YouTube)で学んでください!

Mペース|Marathon

→フルマラソンで走るスピードを想定しているのが、Mペース
ただ実際にVDOT上のMペース近辺で走れるランナーは、かなりレベルの高いランナーに限られます。
しかしながらMペースはある程度の乳酸が産出されるため、Mペースで60分走る練習は、このあと説明するTペース(閾値ペース)20分と同程度のLT負荷(効果や目的は、それぞれ少し異なりますが)と考えられています。
なので、トレーニングとしては使う場面も多いのがMペースです。
- 呼吸は弾むが、まだコントロールできる
- 短い会話なら可能
- 特異性の高いフォーム、リズム、燃費を身につける
- 後半に脚への負担が蓄積するため、実質モデレートが巡行ペースでもMで走るのは大きな意味がある
M2km-E1kmの3km1セットで5セット~10セット実施するような変化走は、ハシルコト北海道おなじみの練習です。

Tペース|Threshold

→乳酸が急増する手前で粘る、閾値走のペース
概ね“全力なら50~60分程度維持できる強度”が目安となります。
ペース走なら20分前後を継続的に走る”閾値走”、5分や10分などで分割するクルーズインターバルなら合計20~40分程度、1kmや2kmで区切るなら合計5km~10kmほど走るようなポイント練習が一般的。
産出される乳酸をギリギリ処理して走り続けられるスピード域なので、乳酸処理能力が効率的にレベルアップ出来る(簡単に言えばスピード持久力が上がる)トレーニングです。
- 終わるのが待ち遠しいペース^^;
- 短い言葉は出せるが、会話は難しい
- 呼吸はキツくなるけど、20分なら何とか頑張れる
- 乳酸の処理能力や、持久的スピードを高める
マルボウ(最初に速くなりすぎる)と乳酸が出過ぎて処理出来ず、苦しくて”死“を迎えます(笑)
最後まで同じフォームとペースを保てることが重要であるため、むしろVDOT上の正規のTペースより少し遅めのペース(数秒/km)でも充分な乳酸が産出されるので、真面目になり過ぎず(笑)、ある程度テキトーにやることも大事です(^^)

CVペース|Critical Velocity
→中間筋を遅筋に変える臨界速度(Critical Velocity)
CVはダニエルズの基本5区分にはありませんが、10kmのレースペース周辺のスピードが目安になります。
- Tより呼吸は苦しいが、Iほど追い込まない
- 1000~2000m程度に分割して行う
- レストは短めのジョグ
- 有酸素能力を高めながら、速いペースでの持久力も養う
- Iペースより負担を抑えて、練習量を確保しやすい
CVの効果や意味については特に解説が専門的になって難しいこともあり、有料記事内で説明しています^^;

上記の記事はハシルコトのマニアが読む、難しい内容の記事。
そういう話が好きでない限り、特に読む必要はありません(笑)
CVペースは、簡単に箇条書きにすると
・中間筋を遅筋に移行させる事が出来る臨界速度(Critical Velocity)
・閾値を超えるスピード練習のように見えて、実は持久力・LTを向上するための練習
※CVとはVo2maxの約90%で走るペースのこと。LTはVo2maxの約86~88%、Iが98~100%なので、LTとインターバルの間の速度であり、概ね10kmベストタイムの巡航ペース/km。中間筋(※2)の有酸素能力向上が目的であり、インターバルよりも距離を稼いで(刺激時間を多く取れ)LT向上にも寄与する。
う~ん、全然”簡単”じゃねー^^;
Iペース|Interval

→最大酸素摂取量(Vo2max)を刺激する速いペース
3~5分程度の反復を中心に、200m程度のつなぎのジョグを入れながら行う練習が一般的。
1000mインターバルなどが代表例です。
主に最大酸素摂取量(Vo2max)に効率的に刺激を入れられるスピード域。
- 呼吸はかなり苦しい
- 会話はほぼ不可能
- 最大酸素摂取量付近で走る時間を積み重ねる
- それにより効率的にVo2maxを上げる

ただVo2maxをどんどん伸ばすために、Iペースインターバルをやりまくるのは…ストップ^^;
多くのランナーが数年でVo2maxが伸びなくなると分かっていますので、レペやCVなど周辺のスピード域でトレーニングする重要度が、走歴を重ねてくると増してきます。

トレーニングによるVo2maxの増加は、遺伝的脂質(すなわち遺伝型)の影響を大きく受けている。トレーニングによる増加の割合は5~50%(遺伝型による)であり、トレーニング開始から24~30ヶ月でプラトーとなる。
※上記もハシルコト本体のブログで有料記事内に記載してある内容ですが、すでに1~2回ハシルコト北海道の記事で公開してますし、また公開しちゃいます^^;

Rペース|Repetition

「速く、リラックスして動くためのペース」
200~400mなどの短い距離を、十分に回復してから反復します。
目的は心肺を追い込むことよりもスピード・動きのキレ・ランニングエコノミーの向上なので、1本1本、自分にとって最高の走りが出来るようになるまでレストを取るのが大事なポイント。
- 速いペースだけど、力まず走る
- つなぎは長めに取り、しっかり回復するのが大原則
- フォームが崩れる前に終了
- 短距離の全力疾走とは異なる
「ゼーハーするため」ではなく、「速い動きをきれいに覚えるため」の練習です。

まとめ

「速く走れば速くなるでしょ!」
という感覚というか”本能”みたいなもので、ジョグよりEペース、Eよりモデレート、モデレートよりM…みたいな感じで、速い方が効果があるに違いないというのは、完全に間違い。
全ての速度域に意味があり、その役割は違います。
例えば閾値走20分をやろう!と思った日。
意気込んで走ったらIペースになって、2000mで苦しくなって撃沈・大の字(笑)。
疲労困憊になってもうスピードは上げられず、ジョグして帰宅。
これではダメということですね。
閾値走での20分(4~6km)の刺激時間を取って乳酸の処理能力(LT)を向上させるのが目的であるため、そのスピードで、最も効果的な”ボリューム”を取るというのが”点”で見れば最重要であり、マラソンはそれを長い期間かけて継続出来た人(”線”で練習効果を考えられて実行出来る人)が、圧倒的に勝つスポーツです。
・予定していた”距離”は守れなかったけど、ペースは予定通りor予定より速かった!
・予定していた”ペース”は守れなかったけど、距離は予定通り出来た!
上記であれば、多くのシチュエーションで
・予定していた”ペース”は守れなかったけど、距離は予定通り出来た!
の方が、いち早い走力の向上を目指すのであれば、有効です。
“ペース”は日々の体調やコンディション(気温や湿度・仕事の疲労や前回の練習の疲労残りなど)で、適切な練習ペースは変わってきますので、無理めな日は少しペースを落として予定の距離を踏む。
そうやって適度な負荷で少しずつ積み上げていくことで、振り返った時に”走力”って、目に見えて向上しているのが分かりますよ!
これからもチームの皆で、楽しく速くなっていきましょうー!!


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