以前マラソン七不思議として何となく書いた記事は、今だに人気記事1位を維持しております^^;
ハシルコト北海道の記事で唯一YouTube動画にしたほどでしたが、その後はさほどコラムを書いておらず。
ただ先日、2025年ハシルコト北海道上半期のお疲れさま会をやった時、とあるメンバーのひと言から発展して少し不思議に思えることに繋がったので、情報共有を。
「唯一、納得出来ないことは…◯イジーさんに負けたこと」
そんな発言をした、ハシルコト北海道のメンバーのTちゃん。
◯イジーさんというのはTちゃんと走歴や走力が近く、お互いにある程度は意識してランニングライフを過ごしているはずの関係であり、お友達。
2024年は、ハーフ・フル共にTちゃんが全勝、しかしながら2025年の上半期は伊達ハーフ・洞爺湖マラソン・サロマ湖100kmウルトラマラソンと、いずれのレースでもTちゃんはPBを連発して走力の向上を見せたものの、◯イジーさんには全てのレースで完敗。
今まで勝っていた相手に、走力的に逆転される。
でも◯イジーさんに比べると、Tちゃんの方が効果的なトレーニングは積み続けている印象。
つまり
練習内容と成長(走力)が、合ってないんじゃね?
というミステリー(笑)
それは本人も、薄っすら自覚しているかもしれません。
なぜこのような事が起きるのか、不思議に思っているのではないか、何なら
(ハシルコト北海道の練習メニューは、効果がないんじゃないか)
と疑念を抱いているのではないかと危惧し(笑)、少しその場で”質問形式”でお話しました。

まず”走力”とひとえに言っても、その人にとって足りないものを補う練習をした時、ハーフやフルのタイムは飛躍的に伸びます。
マラソンは得意なことを伸ばすより、苦手を埋める・苦手をカバーするようなトレーニングをした方が効率的で短期間にタイムを短縮出来ることが分かっています。(それって自分にとって取り組みづらい、苦手な練習に他ならないですが笑)
その”足りないもの”は、人によってはLT(乳酸閾値)の場合もあれば、Vo2max(最大酸素摂取量)の時もあるし、RE(ランニングエコノミー)あるいは、距離耐性が著しく低かったから、ということもあります。
私(げん)がサブ4未達から一気にサブ3.5に半年で飛躍したのは当時、圧倒的に42kmに対する”距離耐性”が低かったことが原因でした。

サブ4未達なのに、謎に当時のTペース走は4’15/km、1000mインターバルはキロ4で5本をやってましたw
つまりもうこの時点で、少なくとも3時間15分~20分は目指せるスピードは持っていたので、サブ3.5を目指すということなら、スピード的には充分ということですね^^;
“距離耐性”が圧倒的に低いという自覚はあったので、とにかく30km走を月に2回~4回実施して、どうにか42kmという長い距離に対応出来る身体にしようと必死でした。
もし詳しく練習を知りたい方がいれば、一気にサブ3.5に到達した当時の練習内容をどうぞ。

それはさておき。
話を戻して、Tちゃんと◯イジーさんの話。
◯イジーさんは30km走が大嫌いで、あまり30kmのペース走とかは実施していない感じ。(マラニックや山での活動は結構やっている印象)
去年の秋まではビルドアップや何となく速く走る機会はあったものの、効率的な練習には取り組んでいなかった様子でした。
ただ去年の秋以降くらいから、閾値走やインターバルの文言がSNSに出てきて、しっかりとしたトレーニングに取り組み始めたっぽい。
ここが◯イジーさんが2025年の上半期、ハーフやフルなどで大きく飛躍をしたポイントかなと。
タフな洞爺湖マラソンの終盤でもラップがさほど落ちなかったところを見ると、距離耐性はある程度のレベルにあると思われるので、LTやVo2maxへの効率的な刺激入れを続けて成長したなーと。
それでも!
Tちゃんは、それこそ素晴らしいブログやYouTubeを参考にしているのか(笑)、閾値走やインターバルはかなり以前からやってるし、30kmのペース走や変化走も実施してきていて、続けてきているトレーニングの質や量の面では上回っているように思えます。
そこに何があるか。
以前ハシルコト北海道のコラムで、その辺について少し書きました。
素質のある人が”テキトーにやる練習”と、素質がさほどない人が理論的に正しい練習をする、どちらがレベルの高いランナーになるか。
残念ながら圧倒的な”素質”の前には、凡人は無力。
例えば私たち一般市民ランナーが、引退した元箱根ランナーが適当に練習して参加するハーフマラソンとか、絶対に勝てない^^;
学生時代に陸上競技をしっかりやっていた素質のあるランナー(素質の中身は、すでに高いVo2maxやLT・RT、細くて軽い身体などの骨格、遅筋優位、暑熱耐性や回復力などの生理的特性を有していること)がしばらくのブランクを経て、週2~3回のジョグやちょこっとのスピ練で初フルサブ3出来たとかは、実は世の中にいくらでもあります。

ただ私たちの多くは、そこまで素質に差は無い一般の中高年市民ランナー。
同じような練習をしていくと、お互い同じように走力は向上していくので、なかなか逆転は難しいのが現実。
ただし何年もの長い期間で見れば、正しい練習を怪我なく積み続けたランナーは高い確率で伸び続けられて、いつの間にか走力が逆転することや、その後はむしろ大差をつけて記録を離していくことは、現実的にあります。
私が初めてサブ3した2016年に少し先をいく、チームメイトの”ライバル”がいました。
同じチームで同じようなスピード練習をしているので、差が生まれるとしたら”その他の練習”が大きなポイントになります。
そんなライバルとの記録の推移は、こちら。

2016年の時点ではハーフ・フル共に3分~4分の差がある状態、特にハーフでの3分差は8秒/km以上の差があり、かなり大きな差と言って良いほどでした。
それが2019年にはハーフでかなり記録が近づき、2025年にはハーフ・フル共に走力は逆転しました。
上記のライバルのみならず、2013年~2016年に私より速いタイムを持つランナーの多くを、今年・2025年現在、いつの間にか走力的に逆転してしまっていたと気付きます。
「今年や来年、どんな成績を出すかよりも、5年先、7年先にどんな走りをしているか常に念頭におくべきだ。」-人間の身体が成熟するのに約20年(とビル・ベイリー)。1年や2年で爆発的進化を期待するほうが無理。それよりも理に適った正しいトレーニングを積むことで、長期的見地に立ったトレーニングへのアプローチをすること
どうしても短期的に「次のレースで勝ちたい!」「今年中に何とかしたい!」「せめて来年までにやっつけてやる!」みたいに(笑)思ってしまいがちですが、長期的に考えていくことが出来たら、良いトレーニング、高いレベルに到達出来るような行動・トレーニングが出来ると思います。
短期的に見て燃えに燃えてしまうと(笑)、いかんせん練習を詰め込みすぎたり、一気に月間走行距離を増やそうとしたりして練習の継続がままならなくなり、ロクなことがありません^^;
「努力は素質を上回り、気力は実力を超える」
という言葉はハシルコトブログで何度か出していますが、長年続ける正しい努力は多少の素質の差を逆転出来ますし、脳のリミッターを解除出来るような気力(メンタル)は、本来身体的な能力ではいけるのに諦めてしまうような気持ちを抑え込んで、自分の実力をさらに高められると思います。
日々淡々と出来る範囲のことを無理なく続けて、3年後・5年後・10年後の走力を最大限にするようなイメージで取り組んでくださいね。
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