【コラム】素質の残酷さ、努力の無情…でも果たして

げんの日記

昨日は一般市民ランナーにとって注目のレース、第44回・つくばマラソンが開催されました。

全国からマラソンに真剣に取り組む、タイムの短縮を目指してガチでタイムを”獲りに来る”ランナーが集う、全国屈指の高速コース。

サブ5からサブ4・サブ3.5、3時間7分の国際基準、サブ3やサブエガ、サブ40。

どのタイムを目標にするランナーも、真剣にココを目指して練習を積み上げてきて、勝負をかけにきてる。

それが故に、つくばではいつだってギリギリで頑張る市民ランナー達のドラマ、嬉しい涙、悔しい涙、悔しさや無念さ・羨(うらや)み、嫉妬、そしてドヤ(PB出したなら許されるヤツね笑)まで^^;、様々な人間模様が現れてきます。

私(げん)は今年、初めてつくばマラソンを外野から、ランナーではなく応援する側として見ていました。

その中で、強く感じたことを。


第44回・つくばマラソン、スタートから2時間ちょっと。

注目しているランナー達が30km地点を通過して、ラップが刻まれた。

国際ランナーを目指し、怪我や厳しい練習にも耐えてきて、このレース同じ位置で巡航していた、私の注目する女子ランナー2人が、25km以降から揃って遅れ始めた。

彼女たちの、30kmの通過タイムは2時間12分20秒前後。

先日ハシルコトのブログ・YouTubeでも言いましたが、国際を目指すランナーのレース展開として、30kmを2時間11分30秒(4’23/km平均)で通過するのは1つの目安。

ただ2時間12分20秒(4’24’67/km平均)でも、望みはある。

国際基準の平均ペースは、4’25’90/km平均以内だからだ。ラップを落とさなければ、いける。

ただし。

当然ながら

30km地点を、ある程度の余裕を持って通過出来ていれば、の話でした。

見てない方は、見てくださいねー(笑)

25km~30kmの区間で徐々にラップが遅れていったのを見ると、それが難しいのは一目瞭然。

彼女たちのゴール予測タイムが3時間7分から9分・10分へと落ちていく終盤、1人の女性ランナーがイーブンペースで彼女たちに追いつき、追い越した。

このレースで3時間15分切りを目指し、家庭の事情から年に1回しか行けない遠征レース・つくばに賭けてきたランナー。

彼女は子供が小さいことや怪我をしがちなことなどから、月間距離は200kmそこそこで、しっかりとしたポイント練習やロング走は、あまりしていない。

とはいえボディメイクはランナーになる前から本格的だったようで、非常に絞れていて体重は軽く、体脂肪も低い。つまり、マラソンに向いている体型と言える。ジョガーだった頃を含めれば、走歴は10年か、それ以上もある。(フル初挑戦は2022年だが)

抜かれてしまった国際を目指す女子ランナーのうち、1人は最後の2.195kmでペースアップし、追いついてきた体重の軽い月間200kmランナーを抜かして意地を見せた形になった。

もう1人の国際を目指していた、月間200kmランナーの後塵を拝した女子ランナーは、とあるSNSで

「なぜ自分はこんなにやっているのに、自分よりやっていない人が前に行ってしまうのか」

と、苦しい気持ちを綴っていた。

国際を目指していた女性ランナー2人は、本当に熱心にジョグからポイント練習までやり切り、月間走行距離も多く、努力を重ねて本番のレースを迎えていたのを知っていたので、心が痛かった。


スポーツの世界のみならず、持たざる者から見ると”ズル”や”インチキ”にさえ感じてしまう、持てる者への、羨ましいという気持ち。もっと言えば…嫉妬。

自分が決して持ってはいない”天賦の才”とも感じる、ライバルやラン友さん・気になるランナーの急激な成長、タイム更新。

自分がどれだけ努力を重ねてきたつもりでも、さほど努力をしていないように見える、少なくとも自分よりは練習の質も量も少ないと思えるランナーが、あっという間に自分を追い抜いて前にいく。

自分は、いつまでたっても記録を更新出来ない状態。

こういうことが続くと、心が折れる。イヤになる。

そういう気持ち、本当によく分かる。

★★★

マラソンは”練習”が一番と考える人もいれば、それ以外に重点を置いて挑んでくる人もいる。

強度の高い練習をボリュームを持って実施し続けられるのは、その人の1つの”才能”と言えますが…マラソンの才能の、あくまでも1つに過ぎない。大きな武器ではあるけどね^^;

世の中には色々なランナーがいて、月間100kmそこそこでも身体の事をとことん研究して鍛えるべき部位を厳しいトレーニングで鍛え、2時間30分台前半で走るような男性ランナーが、確かにいる。

最初から体重が非常に軽くてランニングエコノミーが高く、そして遅筋が多く(月間200kmの女性ランナーは、2022年の初フル時から終盤・35km以降にペースアップしてるような方でした)、(ランの練習はそこそこでも)それにさらなる磨きをかけて、今回の月間200kmランナーのようにレベルの高い記録に到達する人もいる。

人それぞれ、色々な”武器”、自分にとっての強みはある。弱い部分もある。

往々にして他のランナーの”武器”、長所は輝いて見える。

そういう…ある意味”素質”を目の当たり(まのあたり)にして、どう思うか。

素質の差に、絶望するか。否。


努力は素質を上回り、気力は実力を超える

と申しますが、“正しい努力”は素質を上回れると考えています。

自分にも他のランナーより優れている部分、武器になるモノは、必ずある。

大事なことは

その武器を伸ばした方がマラソンのタイムを向上させるのか

武器となる能力を伸ばすよりも、他の劣っている部分を(長所を活かしつつ)伸ばした方が走力を向上させるのか

の判断かなと。

スピードに優れたランナーが、さらに5000m~ハーフまでのタイムを向上させるような練習をして、実際にハーフまでの全てのレースでPBを更新するような記録を残しても…フルマラソンのタイムを向上させる練習をしない限り、結果はなかなか変わらない。

スタミナに優れたランナーが100kmウルトラマラソンで次々とタイムを向上させるような練習をして、実際に100kmで素晴らしいタイムを出せたとしても…フルマラソンでも素晴らしいタイムを出せるかと言ったら、フルマラソンのタイムを上げていくために、自分にとって不足しているトレーニングをしない限り、タイムの向上は頭打ちになってしまう。

フルマラソンは実力以上のものは出ないとも言われますが、気力が充実していると、本来は(人間の本能として)持っている力の7割~8割しか出せないにも関わらず、信じられないくらい粘れて素晴らしいタイムでゴールすることだってあります。(びわ湖マラソンの時、ヘロヘロの42km地点手前でライバルが並んできて実感w)

気力は実力(通常出せる力)を超えるというのは、そういう意味で”ある”と思います。

いくら気力が充実していても、脚が棒になって動かなくなったら粘るも何もなく、有無も言わさず、成す術なく終了なのですが^^;

最後に。

私もそうですが、持たざるもの、弱者の戦略しか取れずに努力”しか”出来ないと思っているランナーへ。

・どんな能力を意識して向上させていくのかの正しい判断と思考を絡めた練習を怪我なく継続することは、走力向上の停滞をなくして10年伸び続けられます。

・素質のあるランナーでも、ある一定の場所(タイム)で停滞する時が必ずきます。考えて正しく練習し続けていけば(それが5年後か10年後かは分からないけど)、いつの間にか、ライバルは気にならなくなりますよ。

★★★

つくばマラソンを走った皆さま、本当にお疲れさまでした。大きな刺激を頂きました!

私をはじめ、全国から山口に集うハシルコトメンバーは、来週の防府読売マラソンで精一杯の走りをしてきます(*^^*)

この記事を書いた人
ハシルコト げん

ハシルコト北海道の代表・げんです!

ハシルコト本体のサイトとは少し違うテイストで、北海道チームの事や個人的に感じたことなどを記事にしていけたら良いな~と思っています!

メンバー達の日記ともども、よろしくお願いしますm(_ _)m

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